序章:美容市場に訪れた「決め手の移動」とは?
美容市場は今、大きな転換期を迎えています。かつてはテレビCMで商品を知り、店頭で美容部員のアドバイスを受け、ブランドへの信頼で購入を決めるのが一般的でした。しかし、Chocobra Researchが20代〜40代の女性3,000人を対象に実施した調査により、この購買行動に「地殻変動」が起きていることが明らかになりました。特に注目すべきは、商品選びの「決め手」が大きく変化している点です。
「店頭離れ」という単純な現象ではなく、消費者が商品を知るきっかけから購入に至るまでのプロセス全体が再構築されつつあるのです。本記事では、この調査結果を基に、現代の美容市場で何が起きているのか、そして企業がどのように対応すべきかを探ります。

世代で異なる情報源!20代はSNS、40代は店頭が重要視されるも…
美容商品の情報源は、年代によって顕著な違いが見られます。20代ではInstagramやTikTokといったSNSが情報収集の主要な入口となっており、若年層のSNS利用の高さが購買行動に直結していることが伺えます。一方で、30代ではSNSの利用が続くものの、口コミサイトや店頭情報の存在感が増し、40代になるとその傾向はさらに強まります。
特に40代では、「店頭・美容部員」を情報源とする割合が17.6%にまで上昇し、InstagramとTikTokを合わせたSNSの情報源と肩を並べる水準となりました。これは、40代にとって店頭接点が依然として重要な役割を担っていることを示しています。しかし、この「知る場」としての店頭の重要性が、必ずしも「購入の決め手」に繋がっているわけではないという点が、この調査の重要なポイントです。

店頭は「確認の場」へ進化!美容部員のアドバイスは決め手にあらず
40代において「店頭・美容部員」が情報源として再評価されている一方で、購入時の「最大の影響源」としては、美容部員のアドバイスを挙げる人はわずか4.0%にとどまりました。これは何を意味するのでしょうか?
店頭はもはや「すすめられて買う場所」ではなく、「実物を見たり、比較したり、確認したりする場所」へとその役割を変化させていると考えられます。消費者は店頭で商品を手に取り、色味やテクスチャーを試し、説明を聞くことで情報を補完します。しかし、最終的な購入決定は、別の要因に左右される傾向が強いのです。店頭が「なくなる」のではなく、その「役割が変わる」という市場の変化は、企業にとって新たな戦略を練る上で極めて重要です。

最終的な購入の決め手は「価格」「口コミ」「効果実感」が圧倒的
美容商品を選ぶ際に最も重視されるのは、ブランド名や話題性ではなく、より実質的な要素でした。調査全体で上位に挙がったのは、「価格(29.2%)」「口コミ・レビュー(25.4%)」「効果の実感・科学的根拠(20.3%)」の3項目で、これらだけで全体の74.9%を占めています。これは、年代を問わず共通して見られた傾向です。
一方で、「ブランドの信頼性・歴史」「SNSでの話題性・人気」「インフルエンサーの推薦」といった項目は、最上位の判断基準としては限定的でした。つまり、SNSや有名ブランドは商品を知るきっかけにはなるものの、最終的な購入の決め手にはなりにくいということです。消費者は「バズったから買う」のではなく、「納得できる理由があるから買う」という「納得消費」の時代へと移行していると言えるでしょう。💡

SNSは「知る場所」!購入はドラッグストアやECが主流
SNSは美容商品の強力な情報源ですが、購入場所としては機能していません。SNSで商品を知ったとしても、実際に購入するのはドラッグストア、Amazon、楽天市場といった、普段使い慣れた購買チャネルが主流です。20代ではSNS経由での購入も一定数見られますが、年代が上がるにつれてその割合は減少し、ドラッグストアやECモール、ブランド公式サイト・公式アプリの存在感が増します。
この結果から、SNSは美容商品の「売り場」ではなく、「入口」として機能していることが明確になりました。消費者はSNSで商品を発見し、口コミやレビューで詳細を確認し、最終的には利便性の高い場所で購入するという流れが定着しています。商品の発見から購入までの動線設計が、現代のマーケティングにおいて非常に重要です。🎯

韓国コスメ、30代前半までは絶大な人気も40代では関心薄に
韓国コスメの浸透度にも年代による大きな違いが見られました。20代から30代前半にかけては、韓国コスメの購入経験が非常に高く、広く浸透していることが分かります。価格の手頃さ、使用感や効果の良さ、SNS・口コミでの評価の高さなどが、これらの世代に支持される理由として挙げられています。
しかし、40代になると状況は一変し、「興味もない」と回答する層が過半数に達します。特に40代後半では、その割合がさらに大きくなります。この結果は、韓国コスメが全世代に一様に広がっているわけではなく、特定の世代に強く支持されている市場であることを示唆しています。世代間のニーズや価値観の違いを理解し、ターゲットに合わせたコミュニケーション戦略を構築することが不可欠でしょう。🇰🇷

美容市場の「地殻変動」が示す新たな戦略の方向性
今回の調査から見えてきたのは、美容市場で起きているのが「店頭離れ」という単純な現象ではなく、「決め手の移動」であるということです。40代では店頭の存在感は依然として高いものの、購入の最終的な決め手にはなりきれていません。
消費者は、店頭で商品を「見る」「試す」「確認する」という行動はするものの、最終的な判断は「価格」「口コミ」「効果実感」といった、より個人的な納得感に基づく要素で行っています。この変化は、従来の「広告で知る → 店頭で勧められる → 有名ブランドだから買う」という流れが、若年層から中堅層にかけて通用しにくくなっている可能性を示唆しています。
これからの美容市場では、「SNSで知る → 口コミやレビューで確認する → 価格や効果に納得する → ドラッグストアやECで購入する」という新たな購買サイクルが主流となっていくでしょう。企業は、SNSでの発見から始まり、口コミで信頼を構築し、生活チャネルで選ばれるような統合的な戦略を構築することが求められます。これは、単にSNSを活用するだけでなく、顧客が「納得して買う」ための情報提供と、購入に至るまでのスムーズな導線作りが鍵となることを意味します。🔑
美容市場は今、「見せれば売れる」市場から、「調べて納得して買う」市場へと大きく変わりつつあるのです。この変化を捉え、消費者の行動様式に合わせた戦略を立てることが、今後の成功を左右するでしょう。
調査概要とChocobra Researchについて
本調査は、Chocobra Researchが調査主体となり、株式会社アイブリッジ(Freeasy)がインターネット調査形式で実施しました。
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調査対象: 20~49歳女性
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有効回答数: 3,000人(20代・30代・40代 各1,000人)
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調査内容: 美容商品の主な情報源、購入チャネル、商品選びで重視する点、韓国コスメ購入経験、購入時の影響源
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調査期間: 2026年3月17日~4月23日
ザ・プレミエールファクトリー株式会社は、化粧品及び美容用品の企画、開発、販売、輸出入に加え、美容・スキンケア領域における市場調査、消費者行動分析及び情報発信を行っています。
Chocobraは、毛穴ケアを中心としたスキンケアブランドであり、Chocobra Researchとして美容市場の調査・分析・情報発信も行っています。
- ブランドサイト:https://chocobra.jp/
調査データについて
本調査の詳細分析および構造整理は、公式ホワイトペーパーにて公開されています。