日本のジビエ問題に挑むフレンチレストラン「AYTNmR」の独自の哲学と持続可能な食への貢献

日本のジビエが直面する深刻な現状 🦌

現在、日本で捕獲される害獣対象の動物のうち、実に9割近くが処分されているという衝撃的な事実があります。農林水産省のデータによると、年間約130万頭が捕獲され、ジビエとしての利用率はわずか約13%に留まっています。

なぜこれほど多くのジビエが廃棄されてしまうのでしょうか?AYTNmRのオーナーシェフ藤崎氏が生産者やハンターとの対話を通じて見えてきたのは、日本特有の複雑な要因です。

  • 処理施設への搬入困難: 捕獲から短時間での処理施設への搬入が必須ですが、山奥での捕獲では時間的・地理的な制約が大きく、断念せざるを得ないケースが多発しています。

  • ハンターの高齢化と人手不足: 重い獲物を山から運び出す作業は重労働であり、高齢化が進むハンターにとっては大きな負担です。これが埋設処分につながる一因となっています。

  • 採算性の問題: 1頭から得られる可食部は全体の約4割と少なく、銃弾費、施設の維持費、検査費用などを考慮すると、経済的な継続が難しいのが現実です。

食肉加工施設での作業

衛生的な環境での食肉処理

ヨーロッパの「お手本」が通用しない日本独自の事情 🇯🇵

「ジビエ」という言葉がフランス語であることからもわかるように、ヨーロッパでは鹿や猪は高級食材として広く認知されています。しかし、その仕組みを日本にそのまま導入することは難しいと言われています。

  • 狩猟文化の違い: ヨーロッパでは狩猟が「紳士の嗜み」として発展し、獲物を美味しくいただく文化が根付いています。一方、日本では肉食禁止の歴史もあり、狩猟は「農作物を守る」側面が強いのが特徴です。

  • 捕獲方法の違い: ヨーロッパでは銃による一発での捕獲が主流で、動物にストレスを与えることなく迅速に処理できるため、高品質な肉質が保たれます。日本では地形の複雑さや安全性から罠による捕獲が約6割を占め、動物が暴れることで肉質が劣化しやすいという問題があります。

  • 物流の仕組み: ヨーロッパでは国家資格を持つハンターが一時処理を行い、直接市場やレストランに売却できます。しかし日本では、厚生労働省のガイドラインに基づき、専門の食肉処理施設への搬入が義務付けられており、この搬入自体が高いハードルとなっています。

日本の複雑な地形や独自のルールを考慮すると、ヨーロッパのシステムをそのまま模倣することは困難です。現在は、ペットフードや革製品としての活用など、日本に合った普及方法が模索されています。

AYTNmRが取り組む「無駄にしない」持続可能なジビエ活用 ♻️

処理施設に搬入できたとしても、最後の問題は「販売先がない」ことです。食肉処理施設が自ら販売活動を行うことは稀であり、販売の担い手不足も課題でした。

そんな中、藤崎シェフの友人である菅原氏が、ジビエ専門の仲介業者として興味深い取り組みを進めています。これは、獲物を捕獲する人、加工する人、そして商品を販売する人を完全に分業化するというものです。

菅原氏は現在、福井県内の複数の食肉処理施設と連携し、加工されたジビエを全国のレストランへ届ける橋渡し役を担っています。レストランでジビエの美味しさを知ってもらうことで、一般層への消費拡大を目指しているのです。

この仕組みは、レストラン側にも大きなメリットをもたらします。それは、止め刺しから手元に届くまでの全ての情報が明確であることです。捕獲日時、止め刺し時間、熟成期間など、必要な情報が詳細に共有されるため、食肉の品質が保証されるのです。

AYTNmRでは、主に敦賀市にある「つぬがジビエ」の宮迫さんからジビエを仕入れています。作業場の清潔さや宮迫氏の人柄が、肉質の美しさに直結していると感じているからです。

炭火で焼かれるジビエ

AYTNmRでは、通年コース料理に日本のジビエを取り入れています。国内食材のみを使用するという哲学に基づき、日本の季節と共に変化する野生の肉質を料理に活かすことは、自然な流れであると藤崎シェフは語ります。

美しく盛り付けられたフレンチ料理

オーナーシェフ藤崎氏の料理哲学と挑戦の心意気 ✨

ジビエというジャンルにおいて、料理人の仕事は大きな責任を伴います。ハンター、処理施設、仲介業者と繋いできたバトンを、料理の出来栄えで台無しにしてはならないという強い思いがあります。

「頭を使って料理する」という師の教えを胸に、藤崎シェフは通年ジビエを使うことで、その時々の旬の食材との組み合わせや、皿の仕立てを常に考え続けています。この創造的な行為こそが、料理人としての成長に繋がる良い機会だと捉えているのです。

AYTNmRの魅力はジビエだけではありません。美味しい料理をゆっくりと楽しみたいと訪れるお客様の会話の中に、少しでもジビエの話題が上がれば、それがAYTNmRの勝利だと藤崎シェフは言います。どの食材であっても「美味しい」と感じてもらえる料理を提供することで、その食材に新たな価値を生み出す。AYTNmRは、そんな挑戦の連続であり続けることを目指しています。

AYTNmR 店舗情報 📍

  • 店名: AYTNmR

  • 電話: 06-7777-7532

  • 住所: 〒540-0035 大阪府大阪市中央区釣鐘町1丁目4-3

  • アクセス: 大阪メトロ谷町線 天満橋駅徒歩3分

  • 営業時間: ランチ 12:00~15:00、ディナー 18:00~23:00

  • 定休日: 不定休(Instagramをご確認ください)

  • 公式サイト: https://aytnmr0204.foodre.jp/

AYTNmRは、美味しい料理を通じて日本のジビエ問題に光を当て、持続可能な食の未来に貢献しようと挑戦する、注目のフレンチレストランです。🍽️🌟

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